浮遊する驚異のピザパイ!

食べ物に本来の目的ではなく、遊びの要素を足して食べ手の満足を得る手法は数多く存在しました。アイスクリームに花火を挿したり、豚の丸焼きの目に電球を入れて点滅させたり、口をパクパクさせている魚をそのまま刺身で出したり・・・。そんな中、究極ともいえるパフォーマンスで食べ手を楽しませるピザが登場したと言うので先月の訪米の際に行ってきました。
場所はサンフランシスコの南、パロアルトにある“Un bugiardo”と言うイタリアレストラン。そこの名物ピザの“Una pizza di piattino volatrice”(空飛ぶ円盤ピザ)。店に入って注文して待つこと30分・・・!見てびっくり・・・確かに空中に5〜8cmくらい浮遊しています。実際にナイフを下に通すと全く問題なく、ピザは浮いたまま。好奇心旺盛な私としては食べることよりも原理を知りたくて、色々な仮説を立てました。

【仮説1】 ピザの台と皿の間に磁石を置いてその反発で浮遊
【仮説2】 皿に工夫があり、圧縮空気で浮遊。所謂ホバークラフトのような原理で浮遊
【仮説3】 鏡とか目の錯覚を利用したトリック

しかし、その仮説をもとに、色々と検証してみましたが、どれも当てはまらないことで遂に降参!店のマネージャーを呼んで原理を尋ねると・・・勝ち誇ったように彼はニコニコしながら
フェルミ研究所の協力を得て超伝導によって生じるマクロな量子効果「運動量秩序」を基本原理として応用し、超伝導原理を使用して浮遊させている。」とのこと。なんとも手の込んだ科学的演出の産物だったのです。値段は40ドルと高く、味はいたって普通でしたが、なんとも不思議なピザでした。思わず「こちらストレーカー!UFO接近!ムーンベース!インターセプター発進せよ!」って叫んじゃいましたwww!

運動量秩序
 超伝導回路を流れる電流が抵抗0で流れ続けるのは、クーパー対の状態そのものだけでなく、電流を構成するクーバー対の個々が、同一の運動量を持った秩序ある状態にあるためと考えられています。クーパー対の持つ同じ運動量による、ある種のゲートバンドが、クーパー対称の通り道となり、完全な導電性を実現していると考えられます。電子はフェルミ粒子であり、パウリの原理に従いますが、クーパー対称はボーズ粒子であり、同じ運動量に凝結することが可能になるではと考えられています。これにより0°K以上でも超伝導が可能になるとの仮説です。