地に落ちたミシュラン ガイドブック

赤本へのレクイエム!!

 私はmixiなど、クローズドなSNSなどの環境では辛辣な事は言っても、このブログではきつい言い方を避けてきたつもりですが、今回は声を大にして言わせてもらいます。
 フランスやヨーロッパ各地を食事をメインの目的として回り始めた30年ほど前からトリショー編集長の時代までは、ギード・ミシュランは手放せないほど信頼を置いていたガイドブックでした。短い数行の中に星・料理スタイル・シェフ・環境などの重要な項目が凝縮して載せてあり、その確かな調査スタイルや厳然とした星の威光など、流石ミシュランと唸らせるような素晴らしいものでした。そのため星付レストランとレストランの間を繋ぎヨーロッパ中を旅する楽しみを満喫してきました。 勿論ミシュランと見解の違いなども多々ありましたが、かなりの部分は十分納得できる評価でした。今となっては伝説のジャン・トロワグロの作るソースや、セルブリテ時代からジャマンへ毎年星を延ばしていった、ジョエル・ロビュションの1982年からの3年間だけの絶頂期、ポール・エーベルランのオーベルジュ・ド・リル最高の時代、ヴィヴァロアとそれに続くセーヌ左岸の天才ベルナール・パコーやアラン・パサーの一瞬の超新星の如き輝き。アラン・シャペルやジャック・マキシマンの想像を絶する凄まじい料理が食べられた短い絶頂期などはミシュランがなければ到底巡り会う事ができなかったと思いますし、本当に素晴らしいガイドブックだと感謝しています。
 しかしトリショー編集長が辞めたあたりから編集方針に疑問を持つようになりました。フレディー・ジラルデやミッシェル・ブラスやマルク・ヴェイラやエル・ブリなのどの大して美味しくもない店に三ツ星を与えるようになり始め、最近はキュイジーヌ・コンテンポラリーなどのチャラチャラした料理ばかりが高い評価を与え始めたことに、強い違和感を覚えました。しかし、それでも関心を持ち続けてきた矢先、東京版が美味しくもない店への星乱発や香港版の福臨門九龍店の無星など無茶苦茶な状態に呆れ果ててしまいました。そうして、とどめは今月発売された京都・大阪版でした。
 まだ、多くのフランス人には理解しがたい究極の薄味の福臨門が無星なのは百歩譲っても多少は判りますが、私が考える日本最高のフランセーズの頂点、ラ・ベカスが無星はおろか掲載もしていないとは...三流評論家のガイドブック以下に落ちぶれてしまったとは情けない限りです。キュイジーヌ・コンテンポラリーを出す店を高く評価するのは異論はあっても、なんとなく理解できますが、日本に訪れた料理人達が少ない時間を割いてまで訪れようとする、関西を代表するグランメゾンで、フランスの権威あるル・レ・エ・シャトーとトラディション・カルト関西唯一のメンバーの店をを載せることすらしないアホばかりの無能極まりない調査員達に開いた口がふさがりません!
 こうなれば多くの香港人と同じように無視するしかないようですね!
そうして声を大にして言います...「さようならミシュラン!!」と...