美食のスーパーノバ その1 福臨門香港九龍店・羅安総料理長

「蒸発したブラックホール」では今では望んでも食べることが出来ない、絶頂期のシェフを取り上げましたが、このシリーズは、今食べないと将来は伝説になりそうな現在最高の輝きを持った料理や料理人を取り上げていきます。
 スーパーノバは超新星のことで、その輝きは銀河系全体の輝きを凌駕するほどの明るさですが、数週間〜数ヶ月で消えてしまいます。料理人も店も永遠に輝き続けることは不可能です。だから今食べることがとても重要だと思う料理人や店を取り上げます。

 第一回目は、やはりこの店から...「福臨門香港九龍店・羅安総料理長」です。この店の羅安総料理長の作る料理は中華料理の孤高の頂点です。羅安さんの家族はカナダに住んでいて、彼も中華正月から明けにかけて良くカナダの家族の元に毎年行きます。その時は明らかに店の味が変わります。勿論大きな組織ですので、極端な変化をしませんが、私にもその違いは、はっきり判ります。羅安さんが作る料理は正に神業で信じられないほどレベルの高い広東料理を生み出します。特に彼の作るスープ料理や海鮮料理は絶品中の絶品です。今彼はかなりの高齢で、とても元気ですが、この究極の頂点が永遠に続くとは思えません。

 香港まで日本から航空機で4時間程度、数少ない食事のみで十分元が取れる国です。だから伝説になる前に足繁く通いたいと考えています。