美食ジェダイ・マスター降臨
ラ・ベカス 大阪 淀屋橋
2ヶ月ぶりのラ・ベカスは想像以上でした。
大阪は今年一番の暑さで、特に淀屋橋周辺はコンクリートジャングル+エアコン廃熱でもの凄い状態でした。あまりの暑さにクマゼミまで落ちてくる始末。日陰を選んでも真上からの直射日光が容赦なく照り付けています。
店の中は別次元の快適さでした。メインホールの絵画が架け替えられていて、渋谷シェフの愛車 ポルシェ911(空冷モデル)を題材とした絵に替わっていて、モータースポーツのレセプション会場のような雰囲気です。
■鱧のマリネ・ガスパチョソース
いきなりオードブルから伝家の宝刀が宙を切りました。去年も衝撃を受けた、世の中の鱧とは一線を画す、とんでもない鱧料理が更に進化して、登場しました。骨きりをすると身が柔らかくなりすぎるため、本来の鱧が持っている、プリプリの食感を生かすために、手間を惜しまず、毛抜きで1本1本丁寧に抜いて仕上げた鱧は今までの料理では経験できない、途轍もないポアソンの一品でした。しっかりとマリネされた鱧を引き立てるガスパチョソースの鮮烈の旨みと酸味の究極のバランスにも圧倒されました。さらに別皿で供される鱧の卵とフルーツトマトも抜群の美味しさで、最初からマスター・ヨーダの美食フォース炸裂です。
新作です。ホタテの甘さ、オマール・コライユの甘さ、イカ墨の甘さの三位一体の甘さが渾然と合わされたホタテは有機的に旨みが絡まり、素晴らしい味わいのオードブルになっていました。
ラ・ベカスで初めて食べる金目鯛です。この魚の持つ独特の香りと食感が生かされ、濃厚なソースにも負けないバランスは流石です。胸鰭の脇の味の濃厚な部分も一緒に供され、ポアソンの渋谷の真骨頂を堪能しました。
アラン・シャペルのスペシャリティを更に濃厚な味付けにして、強い味付けのソースと旨みたっぷりのロニョンコリッとした食感とがベストバランスを織り成すヴィアンドの皿は私好みの最高の肉料理になっていました。
今日は、何年ぶりかの電車で出かけたため、グラスのワインをオーダーしましたが、メーテルの薦めたコルビエールが、カリニャン種の葡萄を使いながら、荒さが全く無く、上品で滑らかで香り豊かなワインになっていて、とても美味しく印象的でした。
デセールはトマトのコンポートをオーダーしました。フルーツトマトの甘みを生かしたデセールは水彩画のような淡い爽やかさでしたが、好みから言うと物足りなかったと思います。
やはり、ラ・ベカスは私とって最高のレストラン・フランセーズでした。今年の10月4日で20周年を迎えるこのレストランは、常にトップに君臨する味で心から私を楽しませてくれています。
ラ・ベカスの夏休みは 8月19日〜22日です。
ラ・ベカス (La Becasse)