考察 ロマネコンティ

 大阪で5年ぶりに1983年ものを開けましたのでロマネコンティについて考察してみました。

 ロマネコンティは不思議なワインだと思います。このワインほど「ロマネコンティ伝説」と言うワイン伝説が一人歩きしているワインもないと思います。第1に、その値段です。私が、このワインをロンドンの仲良しの英国王室御用達のワイン業者から買った、80年代には、高いけど無理をすれば買えない値段ではありませんでしたが、現在このヴィンテージだと軽く100万円を超えてしまうような異常な値段になっています。新しいヴィンテージでも30万円以上の値段が付き、全く買う気が起きません。しかも、ロマネコンティが最もロマネコンティらしさを発揮するのは、10年間に1,2回の当たり年だけだと私は考えます。過去に40本以上を飲む機会がありましたが、印象に残っている年は、1945年、1959年、1966年、1969年、1976年、1978年、1983年、1985年くらいです。それ以外の年は他のDRC、特にラ・ターシュあたりと劇的な違いは少なかった印象でした。

 ただ流石にこのワインはボルドー・グランヴァン1985年以降の醸造方法の違いによる、味の大幅ダウンのような事はなく、1990年や1999年も美味しかった印象がありますが、飲んだ時点では、まだまだ若すぎました。
 しかも、ボルドーワインのセパージュとは違いピノ・ノアールのみの醸造のため、ボルドーほど長期保存ができない点やカーヴの温度管理なども非常なデリケートさが求められる実に気難しいワインだと言えます。さらに、一番重要な点は、これがボルドーワインとの決定的な違いなのですが、セパージュさせることによりワインそのもので完結しているボルドー・グランヴァンと違い、このワインを最大限に引き立てるための料理が必須だと言うことです。アランシャペルの鳩のパイ包みあたりと組み合わせると、この世のワインとは思えないような素晴らしい極上のマリアージュが実現します。

 私のカーヴにも1959年、1966年、1969年が各1本づつ、1978年、1983年、1985年が各3本しか残ってないので、ずいぶん心細くなりましたが、最近の異常な値段では、よほどのことがない限り新たに買うことはまず無いものと考えます。

 5年ぶりに開けたロマネコンティを飲んで、つくづく思ったことは、やはり、孤高の頂点のブルゴーニュワインだと確信できました。値段が値段なので気軽に勧められるワインではありませんが、ワインフリークを自称する方々には、当たり年のロマネコンティはぜひ味わってもらいたい史上最高のブルゴーニュワインであると断言します。