蒸発したブラックホール その14 6万フィートのレストラン

英国航空コンコルド 大西洋上空 6万フィート マッハ2.04

 私がこれまでに乗った数多くの旅客機の中で、最も好きな機体は「コンコルド」です。
音はうるさく、窓もハガキ大で、席の幅もエコノミー並み程度しかない前世代の旅客機ですが、既に現役を引退した現在でも一般人が乗れる最大速力の乗り物の地位は譲っていません。過去にエールフランスでパリからニューヨークまでの1度と英国航空でニューヨーク、ロンドン間を2度の3度ほど乗りましたが、その興奮の至高のフライトは鮮明に覚えています。
 写真は2回目に乗った1986年の時が英国航空コンコルド就航10周年の記念フライトだったので、その記念として、もらった英国ヘリテージクリスタル社製の置物です。コンコルドの何が凄いかと言えば、一般の航空機が3万5千フィート(約1万メートル)の高さをフライトするのに対して、コンコルドはその約2倍の6万フィート(2万メートル弱)の高さを飛ぶことで、地球が丸いのがはっきり判ることです。空の色は黒に近い濃紺で、もう少しで宇宙に行ける事を予感させる、その景色は大感動ものです。
 食事も当時としては画期的で一皿づつサービスされるムニュ・デキスタシオンでした。味は普通でしたが、その感動的な窓の外の風景を見ながらの食事は世界最高(最高高度w!)の機内食でした。それ以降現在までのA380に至る旅客機に乗りましたが、こんな凄い感動は得られていません。また当時は9.11事件の起こる遥か以前でしたので、2回ほど超音速飛行中のコックピットにも入れてもらえました。また有名人にも毎回遭遇し、スティングやデュラン・デュランらにも同じフライトで同乗できました。値段はファーストクラスの2倍というメチャクチャ高価なものでしたが、どうしても急ぎの用事があると言って会社経費で乗ることが出来ました〜
ヾ(^-^;)...m(_ _)m
 コンコルドに乗りこみ、滑走を始めてV2の400 km/hに達して離陸するたびに、レオナルド・ダ・ヴィンチの詩の「大いなる鳥の背に乗り、その大いなる鳥と共に大空へ飛び立とう。その巣に栄光をもたらすために...」の一節が思い出されました。
 やっぱり乗り物は、つくづくスピードだと思います。一日も早く次世代の超音速旅客機の復活を待ち望みます。