蒸発したブラックホール その3 ヴィネグレットの鬼才

ヴァンサンク 大阪 豊中店 杉田シェフ

その昔、心斎橋のビストロ・ヴァンサンクの原シェフの右腕として活躍し、その後に豊中ロマンチック街道沿いに豊中緑丘店が出来た際に、シェフに就任した杉田シェフの料理は時々無性に食べたくなるほど強烈なインパクトのフランス料理でした。 特に彼は酸味に命を賭けているのではないかと思うほど、ヴィネグレットの料理への使い方が素晴らしく、正にヴィネグレットの鬼才と呼ぶにふさわしい料理人でした。90年代の全盛期には月に数回程度は出かけて、その酸味の強めに効いた料理の数々に舌鼓を打ちました。その中でもいまだに印象に強く残っているのは“オマールのポアレの3種のポアーブロン”などは鬼才と呼ぶに相応しい独創的で鮮烈なインパクトを持った素晴らしい料理でした。彼と新井メーテルドテルの名コンビで供される郊外の洒落たレストランは最高の食事空間で今でも懐かしく思い出されます。
 しかし、その後会社の方針で豊中店がクローズになり、杉田さんは、セキスイ倶楽部ハウスのシェフを勤めた後、ヴァンサンク心斎橋店に戻り、現在は出身地の宮崎市内でル・フェーヴ というレストランのオーナーシェフをされているようです。もう一度彼の作る料理を食べたいと思っていますので、近い将来そのためだけに、宮崎まで足を伸ばそうかと考えています。
 街中大阪フランス料理の草分け的存在だった、ビストロ・ヴェンサンク心斎橋店もクローズされ、一つの時代の終焉を強く感じます。

ル・フェーヴ

宮崎県宮崎市小松台南町13-2
0985-48-3356
火曜定休