香港福臨門の謎 その15

超級上湯の謎

 福臨門が福臨門たる他店との大きな違いは上湯の違いと言っても過言ではありません。上湯はスープ以外にも炒めものや、蒸しものなどに使われている広東料理を作るうえで基本的で最重要な素材なのです。京料理にとってのダシのよりも重要なものと言えます。でもその上湯のレシピは至ってシンプルで、金華ハム、豚肉、鶏肉の3要素のみなのです。ところが福臨門はその量が他店と全く違い、信じられないほど贅沢にお金をかけて作られています。



写真はそのスープの出来上がりのと、ダシをとった後の材料です。長時間煮込んだ後でも鍋の半分以上も残っています。上湯の作り始めは巨大な寸胴鍋から具材がはみ出ていて、水分なんてどこにあるの?て感じなのです。www!
 その伝家の宝刀の上湯で作られる料理は孤高にして最強無敵なのです。しかもこの上湯はストックすることが出来ません。ゼラチン質のため、冷やすとすぐに固体化してしまうので、その日に使う分しか作れないのです。さらにこの具材に水を追加して、二番だしにあたる二湯を作ります。香港には福臨門出身の料理長は多く居ますが、福臨門の味に迫る店が無いのも、こんなにお金をかけて作っている店が無いからなのです。このことからも、福臨門の表には出ない凄さの一旦が解りますね。